まずはじめに, ヌッセルト数 (Nu)の依存性をみておこう.
ヌッセルト数は (13) 式に示したように, Ra の3分の1乗に比例し,
Ta には依存しないと考えられる.
図10 は (13) 式の実験値と理論値を比べたものである. この図からわかるように, 実験では, 理論同様にほとんど Ta に依存しない結果が得られている. ただし, Ra = 104, Ta = 104 以上, Ra = 105, Ta = 107 では 対流が生じていないため Nu = 1.0 である. 一方, Ra の依存性に関しては Ra が大きくなるほど, 3分の1乗則からのずれが目立つ. 特に, Ra = 107 の実験は 理論値 28.0 の半分程度の値にとどまっている. この実験は, 熱境界層が分解可能な限界的な場合である. 熱フラックスは熱境界層の厚さに反比例するので, 格子間隔により上限が定まる. このような場合には, ヌッセルト数が予想よりも小さくなる |
図10. ヌッセルト数 Nu の比較. 赤線は実験値, 青線は理論値. |