次に, (25) 式の内部温度差について見ることにする.
図11 は各 Ra に対して, 内部温度差 ΔTc* の表式 (25) の実験値と理論値を比べたものである. 理論値(右辺)は Ta が大きくなるにつれて大きくなる. (31) に示したように, Ta が十分大きい場合には ΔTc* 〜1 に飽和すると考えられる. しかし, ここで示した範囲では, Ta がそれほど大きくないため, まだ飽和領域には達していない. ところが, 実験結果(左辺)によると, Ta によらずほぼ ΔTc* は一定であるか, あるいは若干減少している. すなわち, この式については, 実験結果は Sakai の理論式に従わない. 図7 に示したように, Ta = 107 のときはセル数が非常に大きくなっており, 上昇流・下降流が非常に狭い範囲に局在化する. また熱境界層も分解できる限界を越えつつある. このため, 数値的な拡散がきいている可能性があり, 内部温度差が一定値にとどまっていると考えられる. |
図11. 内部温度差 ΔTc* の比較. 赤線は実験値, 青線は理論値. |