粉体上で剛体を滑走させ、その動摩擦係数を求める為に以下の実験を行った。 粉体としては入手コストおよび扱い易さなどの点で主に小麦粉を用いたが、片栗粉・ケイ砂も用いた。 滑走板は長さ 10m、幅 0.5mのベニア板で、通常はこの上に直接粉体を散布したが、滑走板表面の状態を変化させるために、ベニヤ板の上にトタン板を敷いた実験も行った。 粉体は通常、散布装置を用いて「ふんわり」と2mm程度の厚さになるよう、滑走面の上に散布した。比較実験では、この粉体をさらに圧縮した実験も行った。 その上を滑走させる剛体としては、質量・半径が異なる円盤を数種類用意した。円盤の底面は、滑らかな金属面を持つものと、粉体の粒子が付着するような加工を施したものの2種類を用意した。 |
図3 実験の概念図。各名称をクリックすると画像が表示される。 動画1 実験概要 |
その円盤を、ゴムの弾性を利用した射出装置を用いて加速し、粉体層上を滑走させた。その様子を上からデジタルビデオに記録し、パソコン上で1/60秒毎の位置を読みとって、円盤の速度の時間変化から加速度を測定した。そして
m = -a/g
の関係から動摩擦係数 m を求めた。ここでa は円盤の滑走方向を正とした物体の加速度、g は重力加速度である。
同時に滑走中の円盤の様子を推測するために、滑走後の粉体層上に残された円盤の軌跡の観察を行った。また、粉体層に円盤の進行方向に直行する方向で幅2mm〜10mm程の溝を作り、そこに着色した片栗粉を静かに撒き入れ、円盤が滑走中に粉体層内にどのような剪断運動が生ずるかを確認した。更に滑走中の円盤の傾きを測定する為に、レーザ式変位センサを滑走板の上に一つ設置した。