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地球流体における「雲対流」

 

中島 健介(九大理)・竹広 真一(九大理)・石渡 正樹(北大地球環境科学)・林 祥介(東大数理科学)
地球・惑星現象にみられる対流の多様性を調べるために、 相変化の設定を様々に変えた対流の数値実験を行なった。 変化させる相変化のパラメターは、凝結成分の相対的な重さと 凝結が生じる鉛直運動の向きである. それぞれの数値実験の設定は, 地球の雲対流・木星の雲対流・地球中心核の対流の 状況に対応しているものである.

上昇流において主成分より軽い成分が凝結する状況すなわち地球の雲対流 に対応する実験では、狭く強い上昇流と広く弱い下降流という非対称な 対流が得られる。運動は時間に非定常である。 凝結物の重力分離を抑止した場合には上昇・下降流が対称な対流となる。

凝結成分が主成分より重い状況すなわち木星の雲対流に対応する実験では、 対流の構造は凝結成分の量に依存する。 凝結成分が少ない場合には凝結成分が軽い場合と基本的に共通であるが、 凝結成分が十分に多い場合には凝結を伴う高度領域の下部に対流運動が 生じない領域が現れる。

主成分より重い凝結成分が下降流で凝結する状況すなわち地球中心核 の対流に対応する実験では、横長なセル構造をもつ定常な対流が生じる。 凝結物の重力分離による浮力供給は最下層で幅広く生じており、 固定した熱フラックスにより駆動される熱対流に似た状況となっている。
1998年1月31日受領、1998年5月11日受理

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