5.1節において、固有モードによる運動量輸送の構造(図23)が実際の平均流加速の構造とは逆向きであることが分かった。ここでは、運動量輸送の構造について考察する。
Hathaway & Somerville(1987)[2]の平均流加速メカニズムの模式図(図43(左))では、水平流速がコリオリ力によってロールの軸にほぼ平行に曲げられ、運動量輸送がジェットの中心に集中する構造をしている。しかし、本研究の図37や図38を見ると、確かに水平流速はコリオリ力によって曲げられているが、ロールの軸に対しておよそ40〜50の角度を残している。この様子を図43(右)に模式的に表した。この図のように、実際には運動量はの領域からの領域へと輸送され、その結果、側で減速、側で加速される。図44は運動量輸送による平均流加速( : 式(16)の鉛直平均前の量)の-分布である。ロールの軸の傾きに併せて加速・減速域も傾いているが、鉛直平均するとやはり側で減速、側で加速という図23の分布になる。
コリオリ力による水平流速の曲げの角度はに依存するが、鉛直平均すると加速の構造に大きな違いは見られない。
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SAITO Naoaki