赤道域降水系列と赤道波との対応を明らかにするために,
3.2節, 4.2節 では
東西波数-振動数パワースペクトルについて議論した.
ここではそこで用いた,
Takayabu (1994)
ならびに Wheeler and Kiladis (1999)
によるパワースペクトル計算手法の概略を示す.
- 降水量の 1 年間 (1040-1400日),
緯度 15S-15N のデータを 30 日ずつずらしながら,
90 日セグメントごとに区切った 10 セットのデータを作成する.
- 個々のデータから最小二乗法を用いて平均および線形のトレンドを除く.
- スペクトル推定誤差を抑える為に平滑化を行う.
スペクトルウィンドウにはハニングウィンドウを用いる.
- 各セグメントごとに,
経度と時間について FFT を行い, 波数-周波数スペクトル (時空間スペ
クトル) を得る.
- 得られた時空間スペクトルの緯度, セグメントのそれぞれを足しあわせ,
以下の 3 種類のデータを作成する. ここで A は降水量, φは緯度である.
ASYM(φ)
= ( A(φ) + A(-φ) ) / 2 (対称成分),
AASYM(φ)
= ( A(φ) - A(-φ) ) / 2 (反対称成分),
A(φ)
= ( AASYM(φ)
+ ASYM(φ) )
- A に対して,
波数および周波数方向に 1-2-1 移動平均を 40
回かけ, バックグランドスペクトルを作成する.
- 波数-振動数パワースペクトルの対称成分
ASYM
をバックグラウンドスペクトルで割る.