5. 考察とまとめ |
コンターダイナミクスモデルを使って力学的に不安定な楕円渦パッチの解析を行った。
流線関数、パッシブコンター移流、 有限時間リアプノフ指数などの計算を行うことによって、 渦パッチの変形のメカニズムを明らかにし、 流体混合の視覚的認識と定量的把握をおこなった。
楕円渦パッチの変形
- m = 3 (原点反対称)の擾乱を加えた場合、 楕円の一端からストリーマーがのびて大きく変形していく ( アニメーション1 )。
- 渦パッチとともに回転する系での流線関数( 図2 ) を見ると、 よどみ点を含む流線が渦度ジャンプを与えるコンターに近づき、 やがてよどみ点自体がコンター内部に入って、 ストリーマーが発達する。
- どの解析においても、 初期状態では楕円渦パッチの両端で大きな違いは認められない。 流線関数がわずかに非対称性を示すだけである。
流体混合の様子
- コンターダイナミクスでは、 渦度ジャンプを与えるコンターにのみ注目してしまい、 他の部分の流れを見落としがちである。 しかし、 パッシブコンターを移流させるとコンター以外の領域にも複雑な流れが あることがわかる ( アニメーション2、 アニメーション3 )。
- 回転系で見た流れ場に対応して、流体混合を特徴づけることができる。 パッシブコンターは、よどみ点付近で大きく変形し、 それを含む流線の1つに沿ってのびていく( 図2 )。
- 渦パッチの内部は周囲と隔絶されており、流体は混合されない。
- 楕円渦の短軸のすぐ外側にはよどみ点を含む流線に囲まれた2つの領域があり、 時計回りの回転の流れ( 図5 )となっている。 この領域も、ストリーマーが形成されるまではほぼ隔絶されており、 あまり流体混合が起きていない。
流体混合の定量的把握
- 有限時間リアプノフ解析により、各点における変形の度合いを定量的に把握できる ( 図4 )。
- やはり、回転系で見たよどみ点を含む流線の付近は、 リアプノフ指数が周囲よりも大きい。 このリアプノフ指数が大きいところが、評価時間とともにのびていく。
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