自由液面解析コード
の開発
  1. 研究の目的
  2. コードの概要
    1. 主な特徴
    2. VOF法
    3. 体積の補正
    4. 液面境界条件
    5. 計算の流れ
  3. コードの検証
  4. 解析結果ムービー
  5. まとめ

2.コードの概要 b.VOF法

2.コードの概要
c.体積の補正

2.コードの概要 d.液面境界条件
 

自由液面解析コードの主な特徴のひとつである、液面の総体積を厳密に保存できる仕組みについて説明する。

●計算上生じる、流体内部の液体セルのF値が1未満のセルの対処法(I)

本コードでは当初、F値が1未満のセルが生じた場合、それが、F値が1のセルに囲まれる場合は、F=1に置き換える方法やF<1のまま流体セルとして、計算を続ける等の方法を採っていた。しかし、前者の対策では、液体体積の増加、後者では移流計算によりF<1のセルが流体内部全体に拡散することになることが分かった。
 そのため、新しい対処法として以下のようなものを考案した。
 本コードではNavier-Stokes方程式で求めた流速推定値をSIMPLE法[5]に基づいて各液体セルの連続式の誤差D を0にするように修正している。
 そこで、連続式の誤差D にF値の不足分を加えた誤差D' を0にするように変更し、流速値と同時にF値を修正することとした。
 ここでD' dt を計算時間刻みとして次式で表される。

   

●計算上生じる、流体内部の液体セルのF値が1未満のセルの対処法(II)

また、F値が1未満のセルが、液面附近で生じた場合(すなわち、そのすぐ近傍に共存セルになる可能性のあるF<1のセルがあり、かつ、その共存セルが気体セルに接している場合)、本コードでは当初、その共存セルを表面セルに置き換えてF=0とする方法や、上記の液体内部のセルと同じ扱いをする等の対策をとっていた。
 しかし、これも総体積変動の原因となるため、以下の2段構えの方法で対処することとした。まず、各計算セルの分類法および共存セル内の液面向き決定法にしたがって、各計算セルのフラグと共存セルの場合その中の液面の向きを決定する。この際、共存セルは気体セルと液体セルに挟まれるように決定されるので、その液体セルのF値が1未満の場合、共存セルを液体セル側にスライドさせて、液体セルのF値を増加させ、共存セルのF値をその分だけ減じた。

以上の補正により三次元の複雑な液面変形を総体積の変動を最小限に抑えながら安定して解けるようになった。(体積補正効果参照

2.コードの概要 b.VOF法 2.コードの概要 d.液面境界条件