[English]

粒子画像流速測定法と渦運動エネルギーを用いた回転水槽実験で発生する傾圧不安定波の定量化

筆保弘徳(横浜国立大学教育人間科学部)
舛田あゆみ(横浜国立大学大学院教育学研究科)
乙部直人(福岡大学理学部)
熊澤里枝(横浜国立大学大学院教育学研究科)
西野耕一(横浜国立大学大学院工学研究院)

(Received 3 July, 2014; in revised form X October, 2014)

要旨

本研究では、粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry;PIV)と各波数で分解した運動エネルギーを用いた、回転水槽実験により水面で発生する流体の運動を定量的に同定する解析手法を提案する。まず、回転水槽実験結果を撮影した動画から、PIVを用いて、高時間・空間解像度で水面の運動場を算出する。そして、その運動場から運動エネルギーを見積もり、軸対称成分による平均場の運動エネルギーと、非軸対称成分による渦運動エネルギーに分解する。さらに、非軸対称成分の流れに対してフーリエ解析を行い、各波数毎の運動場から得られた波数別渦運動エネルギーを算出し、全体の運動エネルギーの中での比率を示す。

本研究では、実験条件を変えた400回以上の実験を行っているが、その中でも特徴的な3つの回転水槽実験結果を用いて、この解析方法の検証を行った。傾圧不安定波が発生せず軸対称運動が卓越した実験結果では、平均場の運動エネルギーが支配的な結果となる。逆に傾圧不安定波が発生する実験結果では、渦運動エネルギーが平均場の運動エネルギーに匹敵するほど大きくなる。特に、一つの波数の渦運動エネルギーとその高調波成分の渦運動エネルギーが全体の渦運動エネルギーの中でほとんどを占めている場合は、規則正しい傾圧不安定波が発生する実験結果に対応している。複雑な波形を持つ非軸対象の運動が発生した実験結果を解析すると、卓越波数や高調波だけでなく、その隣の波数の渦運動エネルギーも無視できないくらい大きい比率を持っている。つまり、いびつな波形の運動は、いくつかの波数を持つ波動が重なっていると理解できる。本研究で提案した解析手法により、回転水槽実験で発生した全ての傾圧不安定波に対して、定量的な同定や理解が行える。

本文

  1. はじめに
  2. 実験方法
    1. 装置の概要
    2. 計測方法
    3. 実験手順と実験設定
  3. 結果
    1. 空間・時間分布
    2. 渦運動エネルギー
  4. まとめと今後の課題
  5. 謝辞
  6. 参考文献
  7. 著者・連絡先

付録

  1. スピンアップ期間の運動
  2. サーモグラフィーによる温度場の測定
  3. 実験全期間の動画


Next>>


日本流体力学会ウェブサイト「ながれマルチメディア」へ
c1998-2008 998-2008 The Japan Society of Fluid Mechanics, ALL RIGHTS RESERVED.